debpalash/VoiceStudio
声の合成も書き起こしも、手元の機械の中だけで終わらせる
- 自社サービス組込み注意 — AGPL-3.0 です。組み込んだ側のソース公開が必要になる場合があります。
どういうものか
ElevenLabs のような音声サービスでやっていたことを、自分のパソコンの中で完結させるデスクトップアプリです。数秒から15秒ほどの見本を渡す声のクローン、年齢や訛りや高さを指定する声の設計、動画の吹き替え(書き起こし → 翻訳 → 合成を話者を保ったまま通す)、口述筆記、EPUB や PDF を読み込ませてのオーディオブック作成までが1つに入っています。
つくりは、Tauri v2(Rust)の殻の中に React の画面があり、その下で FastAPI のバックエンドが localhost:3900 で動く形です。音声とテキストはこのバックエンドの中で処理されるので、遠隔のワーカーや外部のエンドポイントを自分で設定しない限り、機械の外に出ません。データは手元の SQLite に入ります。
肝はエンジンを差し替えられることです。読み上げ側16種・書き起こし側11種が登録済みで、既定は OmniVoice と WhisperX。一覧の画面からでも、キーボードの一手でも切り替えられ、CUDA・Apple Silicon の MPS/MLX・ROCm・CPU を自動で見分けます。そのうえで OpenAI 互換の音声 API(/v1/audio/speech など)と MCP サーバーを備えているので、いま外部サービスを叩いているコードは、向き先を差し替えるだけで繋ぎ替えられる想定になっています。
どんなときに使うか
社外に出せない音源を扱うとき
会議の録音、患者や顧客の声、公開前の原稿。クラウドの音声サービスに上げてよいか、という確認だけで話が止まる場面があります。機械の中で完結するなら、その確認が要らなくなります。
従量課金を気にせず、量を回したいとき
本1冊ぶんの読み上げ、動画をまとめて吹き替える、といった作業は文字数で効いてきます。電気代と時間だけになるなら、下書きを何度も作り直せます。
注意点
アプリと、モデルの重みで、ライセンスが別です。ここが一番の落とし穴です。 アプリ本体は AGPL-3.0 で、改変版をネットワーク越しのサービスとして提供するならソースの公開義務が付きます(社内で普通に使うぶんには問題になりません)。それとは別に、ダウンロードされるモデルの重みは上流の条件のままで、既定の OmniVoice は CC-BY-NC——つまり非商用です。生成した音声を売る計画があるなら、見るべきはアプリのライセンスではなくモデル側の条文です。 商用ライセンスの用意はありますが、第三者のモデルまでは面倒を見てくれません。
646言語は、カタログ上の数です。 既定の OmniVoice 単体は600言語以上とされています。エンジンごとに扱える範囲は違い、実際に使いたい言語がどのエンジンで、どの品質で出るかは自分で確かめる話になります。「646言語対応」を1つのモデルの能力と読むと外れます。
まだ active beta です。 Intel の Mac ではローカルのバックエンドが動かず、遠隔のバックエンドが要ります。推奨は VRAM 8GB 以上で、大きいエンジンはそれ以上要るとだけ書かれています。最低要件(RAM 8GB・VRAM 4GB)で動くことと、満足のいく品質と速さが出ることは別だと考えたほうがいいです。
他人の声を複製できる道具です。 本人の同意なしにクローンを作れば、法律の問題になりえます。既定で AudioSeal の電子透かしが入る作りになっていることは、頭に置いておいてよいと思います。合わない人、という以前に、使う側の責任が重い種類のソフトです。