omacom/omarchy
選ぶ手間を手放す代わりに、初日から仕上がった Linux が手に入る
どういうものか
DHH が作っている Linux ディストリビューションです。中身は Arch Linux が土台で、そこにタイル型ウィンドウマネージャの Hyprland と、デスクトップの部品を組み立てる Quickshell が載っています。その上に、Neovim、Chromium、Obsidian、LibreOffice、Kdenlive、OBS Studio といった道具が最初から入った状態で配られます。README はいま、自らを「美しく、楽しく、エージェント志向のディストリビューション」と名乗っています。
作者はこれを、おまかせ(omakase)のディストリビューションと呼んでいます。Linux を自分で組む場合、ウィンドウマネージャは何にするか、バーは何を使うか、配色はどうするかを、一つずつ決めていくことになります。Omarchy はその判断を全部済ませた状態で渡してきます。マニュアルには「ここに無駄なものは一切ない。あるのは私が使うものだけだ」とあります。つまり、誰にでも合う最大公約数ではなく、作者一人の好みが、そのまま完成品として固定されているわけです。
AI のコーディングエージェントを一級の住人として扱う、というのが新しく前に出てきた側面です。特定の1つを推すのではなく、claude・codex・opencode・copilot・grok など主要なエージェントのコマンドがあらかじめ用意されていて、最初に呼んだときに初めて本体が落ちてくる仕組みになっています。増やしたいものがあれば同じ形で包めます。
導入は ISO です。USB メモリに書き込んで起動し、いくつか質問に答えると、インストール自体は5分もかかりません。ディスク全体を使う方式のほか、空き領域に入れて他の OS と共存させることもできます。ディスクの暗号化は既定で有効になっています。
どんなときに使うか
環境を整えること自体に時間を使いたくないとき
設定を詰めはじめると、本来やりたかった作業が後回しになります。ウィンドウマネージャの選定から配色の調整まで済んだ状態が、遅い機械でも5分ほどで立ち上がるなら、その時間はまるごと省けます。あとから気に入らない部分を直せばよい、という順番にできます。
Linux をきちんと使う気があるとき
マニュアルには、Windows や macOS とは違うものとして受け入れてほしい、端末を使い、設定ファイルを編集することになる、と書かれています。GUI だけで完結させたい人向けには作られていません。
注意点
BIOS の設定変更が要ります。 マニュアルには「Secure Boot と TPM のどちらか、または両方を BIOS で切る必要がある」と書かれています。これらは Windows とその周辺のために用意された仕組みだ、という説明が添えられています。BIOS を触れない環境では、そもそも導入できません。
キーボードの種類に制約があります。 既定の構成ではディスク暗号化が有効なので、起動時にパスワードを入力する必要があります。マニュアルは「Bluetooth キーボードからは暗号化のパスワードを入力できない」と明記しています。有線か 2.4GHz の無線が要ります。
ディスクの中身が消えます。 ディスク全体を使う方式では、選んだドライブが丸ごと消去されます。空き領域に入れて共存させる方式もありますが、マニュアル自身が「既存のものを使うなら、必ず先にバックアップを取ること」と書いています。
合わないのは、自分で選びたい人です。 これは欠点ではなく、そういう設計だという話です。基準は作者一人の好みなので、自分の選択に強いこだわりがあるなら、土台だけ借りて自分で組むほうが早いはずです。
ライセンスは MIT で、商用利用の妨げになる条項はありません。